はじめに
- 石材は、他の床材と比べて高級感があり、ホテル・オフィスビルのエントランスなどで多く採用されています。
- しかしその性質はデリケートで、メンテナンスする上ではさまざまな問題を起こします。
- その問題を解決するには、石材に関して正しい知識の習得と適切なメンテナンスを行うことが重要です。
- 石材の汚れの除去が難しいのは、 石材の表面に付いた汚れや水分が微細孔を通って、その内部まで侵入し染み付いてしまうからです。
- 汚れを染み付かせず、石本来の風合いを長く保つには、石材内部に汚れや水分を浸透させないことが重要なのです。
- また石材は比較的トラブルが多い素材ですから、対処できるトラブルとできないトラブルとの区別が大切です。
- 前者であればトラブルの原因を把握した上での作業方法を身につけること、 後者であれば間違った洗浄を施さないことが非常に重要になります。
石材の種類
■天然大理石
色彩や模様が美しい天然石で、高級感もあるためエントランスなどで多く使用されています。 軟らかな石質と酸への弱さからメンテナンスには注意が必要。また、経年で黄変錆が発生します。
■人造大理石
合成樹脂と大理石の粉末を混ぜ、加熱し成型したもので、無地や石目調やマーブル調があります。 天然大理石とよく似ているので高級感もあり加工もしやすいので、浴槽・洗面ボール・キッチンの天板などに使われています。 ただ、熱いヤカンなどを置くと変色することがあります。
■御影石
強度と耐洗剤性に優れた天然石です。雨や風に強いことから、外壁や歩行の多いロビーなどに多く使用されています。 表面の仕上げ加工には、「本磨き」と「ジェットバーナー」があります。
■ライムストーン
砂などで固まってできた天然石です。軟らかく吸水性が高いため、汚れがつきやすく風化しやすいのが特徴です。 デザイン性を重視した店舗などで多く使用されています。
■テラゾー
大理石のチップを主原料に、ポリエステル樹脂またはセメントを混合した人造石です。 対洗剤性が劣るためメンテナンスには大理石同様に細心の注意が必要です。
■テラコッタ
粘土などを低温度で焼き上げた人造石です。 素地は多孔質で汚れがつきやすく、そのうえ吸水性の高さから汚れが内部へと浸透していきます。
■砂岩
花崗岩が砕けた砂の堆積によりできた天然石です。 軟らかく、吸水性も高い石質のため、汚れがつきやすい石材です。
■セラミック(磁器タイル)
粘土などを高温度で焼き上げた人造石です。 素地は緻密で吸水性が低いため、飲食施設のフロアで特に多く使用されています。
汚れの種類
■歩行による土砂汚れ
通路などの人の歩行が激しい場所に見られる黒ずんだ汚れのことです。
除塵しきれなかった土砂が石床の表面に堆積することでできます。
■濡れ色
石床表面が濡れているように見える状態を言います。
石床の裏地にたまった水が毛細管現象により表面に浮き上がって起こります。
■エフロレッセンス
石床の裏地から毛細管現象により表面に浮き上がった水酸化カルシウムと、
空気中の炭酸カルシウムとが反応して白い粉が発生することをいいます。
■サビ
設置されたゴミ箱や灰皿などのサビが付着する場合と、雨などにより、
石材に含まれる鉄分が酸化して表面に浮き出てくる場合とがあります。
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